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鳴門教育大学大学院学校教育研究科 准教授
小倉正義
(おぐら まさよし)
みなさん,徳島県のことをどのくらいご存知
でしょうか。徳島といえば,すだち,鳴門金
時,鳴門鯛,わかめなどの海の幸・山の幸,そ
して何よりも阿波おどりが有名です。私自身も
徳島に来て9年目になり,(県出身の方からす
ればまだまだかと思いますが)県外でお話をす
るときには徳島のことがそれなりに語れるよう
になってきました。そんな徳島ですが,心理学
は県内の4大学(徳島大学,徳島文理大学,四
国大学,鳴門教育大学)で学ぶことができ,そ
れぞれの大学間の交流も積極的に行われていま
す。心理学を学ぶ環境としても整っているので
はないかと自負?しております。
昨年(2017年)の11月11日・12日に中国四
国心理学会(会場:徳島大学)が開かれまし
た。その中国四国心理学会の開催と合わせて,
徳島県臨床心理士会との共催で一般市民への公
開講座と高校生向けのセミナーとして,「高校
生のための心理学講座」が開催されました。今
回の「私の出前授業」は,この「高校生のため
の心理学講座」の中で私が徳島県臨床心理士会
の広報担当理事として企画運営を担当させてい
ただいた11月12日のお話をさせていただきま
す。当日,徳島県や淡路島から50名以上の高
校生たちが参加してくださって,盛況でした。
ここでは「高校生のための心理学講座」と書か
せていただいておりますが,一般向け公開講座
としても広報をさせていただきましたので,高
校生に加えて,心理職を含めた対人援助職の方
など様々な方も参加してくださいました。
このセミナーは13時〜 16時半までの時間で
行われ,全体会と分科会で構成されていまし
た。全体会は「新しい国家資格と心理のお仕
事」というテーマで行い,分科会では,高校生
のための体験授業を2コース設置し,別にシン
ポジウム「現代社会の問題に心理学はどんな貢
献ができるか?」も行いました。
全体会の講演では,鳴門教育大学の葛西真記
子先生と吉井健治先生に登壇していただき,私
(小倉)の司会のもと,トークセッション方式
で行いました。当日は公認心理師法が施行され
たばかりの時期で,心理職に就く者としては伝
えたい内容であると同時に,語ることが難しい
内容でもありました。いろいろと講演の進め方
を演者の先生方とも相談したのですが,一方的
にお話をする講演よりは,高校生を中心とした
参加者のみなさまに心理学をより身近に感じて
もらえるように,トークセッション方式を選び
ました。
具体的には,司会から,下記のような質問を
演者の先生方にさせていただき,答えてもらいま
した。先生方には,個人の経験や気持ちをあえ
てたくさん入れてもらうようにお願いしました。
問 1 「心理のお仕事」とは,率直にどのよう
な仕事なのですか? ご自身の経験から具体的
にお話ししてください。
問 2 心理の資格が国家資格になったことは,
どんな意味があるのでしょうか? 国家資格に
なったことをどのように受け止めればよいです
か?
問 3 会場には高校生の方がたくさんいらっ
しゃいますが,これから心理のお仕事をした
い,心理職を目指したいという方にメッセージ
をください。
高校生のための心理学講座
in 徳島
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私の出前授業
Profile─小倉正義
名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程後期課程中退。名古屋大学
発達心理精神科学教育研究センター特任研究員,鳴門教育大学大学院学校
教育研究科講師を経て,現職。臨床心理士。専門は発達臨床心理学。著書は
『「ギフテッド」天才の育て方』(共著,学研教育出版),『ワードマップ認知的
個性:違いが活きる学びと支援』(共編著,新曜社),『小学生 学習が気にな
る子どもを支える(心の発達支援シリーズ3)』(分担執筆,明石書店)など。
司会をさせていただきながら,私もお二人の
先生方の思いが伝わってくるように感じていま
した。心理の仕事を選択し,続けてこられてき
た演者のお二人が,どのように考えて歩んでこ
られたのか,参加された高校生たちにも実感を
もって伝わったのではないかなと思っていま
す。
全体会が終了した後,体験授業を受ける高校
生たちは,それぞれ大学の講義室に移動し,2
コースに分かれて授業を受けました。
体験授業のコースの一つは,認知心理学と臨
床心理学の二つの授業で,認知心理学を徳島大
学の佐藤裕先生,臨床心理学(精神分析理論)
を鳴門教育大学の葛西真記子先生に担当してい
ただきました。もう一つのコースは,臨床心理
学(コラージュ療法体験)と発達心理学の授業
で,臨床心理学を徳島文理大学の東知幸先生,
発達心理学を四国大学の下坂剛先生に担当して
いただきました。心理学を大学で学びたいと
思っている高校生たちにとっては,徳島大学と
いうキャンパスで,地元の4大学の教員が担当
している授業を選択して受けることができるこ
とは,進路選択から考えても非常に貴重な経験
になったのではないかなと思います。
本当はお一人お一人がどのような授業をされ
ていたかを詳しく紹介したいのですが,誌面の
関係でここでは省略させていただきます。
もう一つの分科会のシンポジウム「現代社会
の問題に心理学はどんな貢献ができるか?」に
ついては,高校生の参加は少なかったですが,
一部の高校生とその他の一般参加のみなさまが
参加してくださいました。テーマ的には,心理
学に携わっている人もそうでない人にも興味を
もってもらえる内容になるように工夫しました。
高芝朋子先生(徳島赤十字病院・臨床心理
士)の司会のもと,話題提供として,鳴門教育
大学の内田香奈子先生には,『学校教育に心理
学が貢献できること〜 “こころ”を大切にして,
充実した学校生活を送ろう〜』というテーマ
で,同じく鳴門教育大学の古川洋和先生には,
『生活習慣病対策に心理学が貢献できること〜
やめられない・止まらない振る舞い対策として
の学習心理学〜』というテーマで,徳島大学の
福森崇貴先生には,『がん医療で心理学が貢献
できること〜がん医療従事者を支えるために
〜』というテーマでそれぞれお話ししていただ
きました。そのうえで,徳島大学の佐藤健二先
生,鳴門教育大学の吉井健治先生に指定討論を
していただき,フロアのみなさまと一緒に議論
を深めていきました。シンポジウムを通して,
ライフステージ的にも,領域的にも,様々な場
面で心理学が活かされていることが伝わったと
考えています。
私は,全体をコーディネートする立場だった
ので,それぞれの教室を駆け回って,様子をみ
させていただきました。本当に高校生のみなさ
ん(もちろん,他の参加者のみなさまも)が熱
心に取り組んでいらっしゃったのが印象的でし
た。ちょっと贅沢に盛り込みすぎたくらいの濃
厚な内容で,徳島で学べる心理学総集編のよう
な感じの講座が企画できました。できれば,何
年かに1回はこのような企画を行い,未来の心
理学者たちに心理学の面白さを知ってもらった
り,たくさんの人に心理学が貢献できることを
知ってもらったりという活動を続けていきたい
と思っています。